アイデア箱

【現地レポ】地域産業に潜む闇

桜葉

こんにちは!松崎町地域おこし協力隊のてらけんです。

本日は、少し重たいテーマについて考えてみようと思います。

と、言いますのも、こんな記事が上がっていたためです。


いや~やっぱり地方は人材不足なんだね~少子高齢化だね~~~

な~んて悠長なこと言ってる場合じゃないのです。

※ただし、個人的な考えも含まれますので、あくまで参考程度にご覧ください。



産業の衰退=少子高齢化?

慌てるほどじゃない、当然の結果

結論から先に申し上げましょう。

産業の衰退は少子高齢化が原因ではないと思います。

なぜか?

産業の衰退の原因って事業戦略として大きく失敗したとか、そもそもその産業によるサービスが不要になったとか、そういうことに起因しますよね。 少子高齢化ってその点的外れだと思うんです。

たぶん「少子高齢化で産業衰退していく」説の根底にあるのは、「高齢化で作業が大変になってきたのに少子でバトンを受け取ってもらえなかった」という考え方があると思います。

でも、世の中で衰退しない産業というか、衰退させたくない産業って「そうしないための努力を常に続けている」と思うんです。

だって「人間が年をとっていく」なんてものすごく自明のことじゃないですか。

だから、長期的な事業戦略に桜葉産業は失敗してしまったんだと思います。シンプルに。

担い手を育成しなかったこともありますし、世の中の桜餅需要の喚起も怠った。その結果が積もり積もって今に至った。 それだけだと思います。

便利な公式としての”少子高齢化”

少子高齢化した! だから産業が衰退した!

それは論理の飛躍なのです。

僕からすれば衰退すべくして衰退した産業が先にあって、それに連動して人口流出、少子高齢化、、の方がまだ近いように思います。 ただ、もっと丁寧に考察するなら、その間にはいくつものステップがあって、それらが全部相まって【産業が衰退していく】のだと考えます。

だから記事のタイトルにもなっている、「桜葉産業、高齢化で危機」はそれこそ危機的なのだと思います。

もっと議論の余地がある。

高齢化が果たしてどこまで産業衰退に寄与しているのか?どっちが卵でどっちが鶏なのか?

便利な公式が世の中にはびこっているに過ぎないと思うのです。「高齢化→産業衰退」は。

なぜなら、そう言ってしまえば「なんとなく産業衰退は仕方なかった」ように見えるから。

人間不思議なもんだな~と思うのが、ある程度原因を見つけるとそこで追及をやめてしまうことって多いですよね。

特にいつも思うのですが、少子高齢化っていつもそうですよね。

「産業が衰退していく。。」 →原因:少子高齢化

「学校が少なくなって教育環境が。。」 →原因:少子高齢化

「空き家・耕作放棄地が増えていく。。」 →原因:少子高齢化

全部少子高齢化。笑 なんなら、

「年金受給額の減額、税負担の増加。。」 →原因:少子高齢化

まで。

人口推計って統計の中でもかなり正確な数値予測ができるそうなんですよ。そりゃそうですよね。 突然人間が大量に産まれるはずがない。 「今年は双子が多くて人口が増えました!!」みたいなことがあるわけないですよね。笑

だから、少子高齢化なんてわかりきっていた未来予想図であって、ただの経過なんです。

「年金受給額の減額、税負担の増加。。」

なんてこと、起こることがわかりきっていたわけなんですよ。

少子高齢化することはわかりきっていたし、それで年金受給額が減り税負担が大きくなることもわかりきっていた。 なのにそれをつなげて、

「年金受給額の減額、税負担の増加。。」 →原因:少子高齢化

と結論付ける。

これって、おんなじ場所をぐるぐる回っているだけなんですよね。やべーやべーって騒いでいるだけというか。 無駄に体力をつかっているだけ。

不思議なもんですね。もっと深堀りしていけば違う原因が見えるかもしれないのに。

答えにたどり着く術がなかった

でもそこを深堀りしない理由ももちろんあるのです。

それは、【仮説を立てる論考に慣れていない】ということです。

問題解決するためには、「現状分析→仮説→実験→考察→分析→…」というプロセスが必要です。 たぶんこれは何事においてもです。自由研究でもそうですし、大学の研究でもビジネスでも同じだと思います。

これに慣れている人たちなら、仮説を立てることに抵抗がないでしょう。

例え失敗する仮説でも、その後の実験→考察のプロセスでそのことが証明されるだけだからです。 むしろ、失敗することを証明するための仮説→実験だったりすることだってあるのです。

そうなると、失敗することが実験の成功。かつ、それをどう考察し、次のプロセスへ運んでいくか。それが重要性を帯びてくるわけです。

その中にカギを見出し、最終的に大きな課題を解決していくわけです。

そういう全体のプロセスがイメージできていれば、仮説を立てることは本当に仮説でしかなくて、もっと大事なものがあることがわかるはずなのです。

でもそれが特に地方では【難しい】。仮説を立てることに慣れている人が少なくて。 仮説を立てると「なんだお前文句があるのか!」が先に立ってしまうからみんな発言を避ける。

仮説を立てて考察するプロセスよりも、一つの原則に沿って構築されているシステム。

「これはこうだ」と一つずつ定義してしまって、それを揺らがせないシステム。それが前提にあるのです。

その中では「高齢化→産業衰退」という公式は非常に機能するのです。

そう決まっているから。 なんで産業衰退するのかって、高齢化だから。以上。

非常に単純明快に答えが導き出せたような感覚になる一方で、実は思考停止なのです。

仮説を立てることはどこかそれに反対するような感覚を生んでしまって、ともすれば「過去の思考停止をあぶり出す」ことにもなってしまう。

今こんな状況になっているのは、「過去の人が問題を先送りにしていただけじゃないか」と。

「これはこうだ」と一つずつ定義していく側は楽だったのです。それに決めてしまえばその通りに動いていく。 その時はとてもスムーズが決まっていくように見える。 コトが早く進み、評価される。 評価されて権力をもって、さらに一つずつ定義していくことができる。

でも、(1)その【「これはこうだ」と一つずつ定義】されていたことは本当に正しかったのか? (2)短期的ではなく、長期的に見て正しい判断ができていたのか? あるいは、(3)時間が経ったら社会が変わったら柔軟に変化していくべき【定義】だったのではないか?

そこが小さなヒントになるはずだったのです。(1)(2)(3)はどれも仮説です。そうだと決めつけるものではありません。

でも誰もそれができなかった。 それをすることに慣れていなかったし、タブーという認識に支配されていたから。

ある意味仕方ないなと思うのは、仮説を立てるという重要性やそのプロセスを教育課程において経験することができなかった、という点があると思います。

昔の教科書に「グループディスカッション」「ワークショップ」なんていう作業があったの?と言われると難しいと思います。^^; 少なくとも僕の経験ではほぼありませんでした。至って真面目に教育を受けてきましたけどね。

教科書に書かれていることをテストに書き写す。 それがいかに正確に早くできるかどうかが求められた。

それを精査するプロセスの重要性は評価されなかったのです。 いかに処理を早くできるかという評価軸しか学校に無かった。 その環境に浸かってしまっているとどうしても【仮説を立てる論考に慣れていない】。

深堀りする術をそもそも持っていなかったわけです。だけど産業は衰退していく。何かしらの理由をつけなければいけなくて、便利な「高齢化→産業衰退」という公式を使う。 作業として。以上。

それが根底にあるのですね。



桜葉産業はチャンスである

かなーり長くなりましたが、笑

ここから本題の桜葉の方に話をうつしましょう。^^;

桜葉の衰退を再考する

桜葉産業が衰退していることは間違いないでしょう。事実として。

それをしっかり考えてみると、最もベースにあるのは、「皆さん桜餅ってどれだけ食べます?」問題です。^^; 元も子もないですが。

シンプルにニーズがないと思うのです。その意味で言うと、この記事は「桜葉が主産業である松崎町の存続の危機だからみんな桜葉なんとかしなきゃ!」という方向に偏りすぎていて、世の中に需要がないものはいくら町の顔産業であれ仕方ないと思うのです。 冷凍庫によって氷屋さんが廃業していったように。

そこを掘り深めてもあまり発展的ではないので、そこは前提としていただきたいです。だって、「皆さん桜餅ってどれだけ食べます?」^^;

実はむしろ食べてないのは松崎町民なんですよ。笑 みんな農薬がたくさんかかっているからと言って食べないんです。オフレコですが。^^;

そう考えると、衰退というより、事業のスリム化。そんなにネガティブな現象ではないのです。

今までのニーズ設定こそ過剰だったんじゃないか?と改めて考えてみるチャンスだと思います。 事業者が少なくなれば無駄にパイを奪い合うことを避けられますし、価格設定を検討することも少し容易になると思います。 それは戦略次第では事業者にとって果実もあると思います。

桜葉の活用方法を再考する

桜餅としての桜葉は食べられなくなっているかもしれません。

でも、「桜葉自体の需要って減っているのか?」と考えてみましょう。

そうすると面白いことに、桜餅以外の活用方法が全然検討されていない。笑

独特の甘い香りは好き嫌いが分かれる側面もありますが、他にはないストロングポイントです。

料理に使いにくいのか。。? と思ったら、

普通においしい。

中でも桜葉みそは大人気!! 地元でずっと桜葉に携わっていた方でさえも食べたことがなかったというお味に。

甘い香りとちょうど良い塩気がごはんにもパンにもあう!!

可能性はたくさんつまっていたんです。 そうなると、「今でこそ桜餅需要が減ったことによりニーズがないように見えるが、実は開拓の余地がある作物だった」ということになります。

松崎産桜葉の価値を再考する

なぜ国産の7割を松崎町で生産していたか?

その理由が実はびっくりなんです。

ちなみに残り3割は西伊豆だったり南伊豆だったり。

つまり、ほぼこのエリアでしか生産されていないのです。

 

いや、そうではなく、

この地域でしか生産できなかったのだそうです。

この緯度経度の条件等が必要だったそうです。良い香りを出すためには。

栽培自体はできても「良い香りを出すため」には、この気候土壌が必要だったんだそうです。

じゃあ中国産は?というと、香りの面ではあくまでも松崎町産のものが負けていないんだそうです。 あくまで出荷する葉っぱの量が足りないから葉っぱを取り寄せるけども、純粋にその葉っぱだけで桜葉漬けをつくってしまうと香りの面で条件が変わってきてしまう、と。

これがもし「どこでも桜葉を生産できる」か「実は他の場所の方がクオリティの高い桜葉が生産できる」だったら条件はかなり違いますよね。 そこと競争していかなければいけない。

何か新しい技術を開発したり、新しい品種をつくったり。

でも松崎町の場合は現状それが必要ない。

だってクオリティの面で他に比較対象がない。

無理やりな感じもしますが、つくってしまえば価値になる。 これは大きいですよね。

お米だったら、と考えてみればわかりやすいかもしれません。世の中にお米は品種も量もたくさんありますからね。

桜葉の生産方法を再考する

桜葉生産において、他の農産物とは違うとてもユニークな事情があります。

それは、「桜葉を生産しても漬けてもらわないと価値にならない」ということです。

皆さんが食する桜餅の桜葉は一度塩漬けされています。ほぼ漬物みたいなフローです。

そうすることで葉っぱの細胞が壊れて、中から独特の甘い香りがするようになるのです。葉っぱをとっただけでは実はあの甘い香りはしないのです。

だからあくまでも「葉っぱを育てても価値にはならない」。トマトやキュウリならそれだけで価値として提供できますよね?

だから桜葉生産者は必ず“桜葉を漬けてくれる人=漬け元”に買い取ってもらうのです。そしてそれを漬け元が漬けて、お菓子屋さん等に販売することで初めて価値になる。

ここまでは特に変なことはありませんよね。農家と農協みたいなもんです。

でも一つだけ。

桜葉を取引するときは必ず【50枚1束単位でなければいけない】という鉄の掟です。

葉っぱをとりまくって漬け元に持って行っても買い取ってくれないのです。だから、葉っぱの生産者は必ず50枚に束ねます。この作業を“まるけ”と言います。まるけてくれる人を”まるけ手”と言います。

つまり、

葉っぱの生産者 → まるけ手 → 生産者が漬け元に持っていく → お金に変わる

というシステムだったのです。

これもそこまで不思議ではないかもしれません。ふんふんそうなのね、と。

でも実はここが大きな落とし穴で、【まるけ手が減ると桜葉の生産量が減るという課題を内包している】のです。

桜葉の生産地を見ていただけるとわかるのですが、桜の葉っぱってめちゃめちゃ生えてくるんです。笑 だからとろうと思えばけっこうな量の葉っぱがとれる。

でもあくまで【まるけ手がいないと収穫しても意味ない】んですよね。だってそうです、

収穫しても”まるけ”てもらわないとカネにならないから。

それなのにまるけ手が減っていく。

なんでまるけ手減っていくの?そんなに大変なの?というところを見てみると、重いものを運ぶわけでもないから内職のようにできる。言ったら葉っぱを束ねる作業です。(←それでもやると大変です!)

ある意味高齢化による影響ですが、それより深刻だったのが、労働条件。

一年前の取材ですが、【1束30円】という条件だったそうです。

そうなると、時給900円稼ごうと思ったら1時間に30束。2分に1束。

やってみればわかるのですが、それは大変です。

素人だと、「同じぐらいの大きさで綺麗な葉っぱを選定」し、「50枚数えて」「ひもでくくる」という工程をこなすのには時間がかかります。

それをみっちり1時間やって箱につめてもやっと時給900円。 もしクオリティが低くて買い取られなければアウトです。

そんなリスクあるぐらいだったら他のバイトの方が良いですよね?笑 とにかくやればほぼ確実にお金がもらえる。

だからやめていくんです。特に若い方々が。 だって他でバイトする方が良い。

そしてまるけ手がいなくなっていけば、いくら葉っぱをとっても意味ないんです。

もし桜葉生産に革命をおこすなら

【まるけのフローをなくす】

ことです。笑

なんでまるける必要があるの?というところですが、あくまで桜餅として製品にするのが大大大前提になっているのです。

桜餅として提供するためには形が綺麗な状態で提供したい。葉っぱが欠けてもいけないし、折り目がついてもいけない。だから丁寧にまるけなければいけないのです。

じゃあそれ以外の方法で提供したら?

例えば既出のこのような形ですね。 【みそに練り込む】。

あくまで香りと味の要素としての桜葉を活用する。 そもそも調理過程でめちゃくちゃ刻みますからねw

すると別に形は綺麗じゃなくて良い。

あるいは、「まるけて漬けていないと香りがでないんじゃないか?」という疑問。

これもNOです。 もちろん、あんまり雑に漬けこむと塩が行き届かず香りが出ませんが、そんなご丁寧に束ねる必要なんてありません。

試しにえいっと樽に桜葉を入れて塩漬けにしてみました。

すると不思議。 普通に甘い香りは出る。笑

細胞が壊れてでてくるみたいなフローなら当然ですよね。

そして、まるける必要がないなら葉っぱの生産者はガンガン葉っぱを収穫できる。 しかも、その途中で穴が空いているかどうかとか、形が綺麗かどうかとかも選別する必要がない。 形は関係ないから。

そしてそして、桜葉みそにしておにぎりに塗るとおいしい! しかもおにぎり1個あたりに使う桜葉の量はおよそ1枚。 150円のおにぎりとして販売するなら十分採算がとれる。

少しまとめてみましょう。

こんな感じです。

だからね、

【まるけのフローをなくして産業革命しましょう】。

課題と可能性

最後はうまい話のように書きましたが、実際にはいろいろ問題もあります。ただまるけをなくしたからって好転するものでもありません。

でも、このように一つずつ精査してみればなんとかはなるもんなんです。

もし、全く資源もない砂漠で金稼げという条件だったら違うわけです。

そんな枯れていることはないのです、地方ってけっこう。

じゃあてらけん、お前産業革命しろよって話ですが、そうもいかないからここに書いているのです。笑 (→夢見て一歩ずつ進めてはいますよ!^^;)

地域産業に潜む一番の闇は、

活用方法を知らないことと、可能性を排除する傾向にあること。

この二つです。

でもある意味面白いなあと思います。 それだけ可能性に溢れてる。

皆さんも少し地域産業の舞台裏を覗いてみませんか?

思わぬチャンスが埋もれているかもしれません。

(桜葉ビジネスに参入したい方!是非ご連絡お待ちしております!笑)

てらけん





ABOUT ME
てらけん
静岡県富士市出身。仙台で建築を学んだり、信託銀行で金融を学んだり、伊豆で地域おこしをしたり。

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