こんにちは!静岡県伊豆・松崎町地域おこし協力隊のてらけんです。
本日は地域が抱える構造的問題をちょっと変わった世界観から解説してみたいと思います。
その世界観というのが!まさかの!
ONE PIECE!!
笑
、、なぜかって? もちろん、
てらけんが大ファンだから
です。^^; 個人的な趣向で申し訳ございません。。でもものすごく親和性は高いと思います。 他の漫画にもいずれ対応していこうと思います!
- 地方創生と言われるけど何が問題なのかわからない
- 難しく解説されても理解できなかった
- 地域で活動しているが、壁にぶつかっている
Contents
ONEPIECE概要
ニュース|劇場版『ONE PIECE STAMPEDE』38キャラが登場する第3弾特報、第2弾ポスタービジュアル解禁!バレット役は磯部勉さんに決定!! #onepiece https://t.co/4QXzqDRXfD pic.twitter.com/oAmVSwDkRd
— ONE PIECE.com(ワンピース) (@OPcom_info) 2019年4月10日
ONEPIECEと言えば、今や日本を飛び越えて、世界的にも超有名なった少年漫画!^^ 知らないという方の方が珍しいかもしれないぐらいですね。
一応、全く知らないという方向けに振り返っておきますと、
- 冒険漫画海賊王を夢見る少年モンキー・D・ルフィを主人公とする、「ひとつなぎの大秘宝(ワンピース)」を巡る海洋冒険ロマン。
- 夢への冒険・仲間たちとの友情といったテーマを前面に掲げ、
- バトルやギャグシーン、感動エピソードをメインとする少年漫画の王道を行く物語として人気を博している。
- また、長年にわたりながら深く練り込まれた壮大な世界観・巧緻な設定のストーリーも特徴。
このような感じです!(Wikipedia情報)
ざっくり言うと、主人公ルフィが海に出て冒険していく少年漫画です! 私はそれこそ少年時代~高校ぐらいまでドハマりし、ONEPIECEとともに青春を過ごしたと言っても過言ではないのです。笑
今回は、その漫画の中のあるストーリーから、地域に内在する課題を解説していきたいと思います。 どうしてもネタバレを含むので、漫画を先に読みたいという方はご注意ください。 ただ、私がストーリーを説明しても、漫画でみる感動の1%も伝わらないので、ネタバレしてしまったとしても漫画の方をご覧いただければ必ず楽しめます。 それぐらいおススメです。(真顔)
※今回のキャラクター等はONEPIECE.comさんのページに上がっていますよ!解説もついているので是非ご覧ください!
ONEPIECEから学ぶ、本当の地域おこしの形
今回、わざわざONEPIECEを引用してお伝えしたかったのは、
目的を見失うと、地域を想う気持ちが
不幸を招くケースがある
ということです。
地域への愛はときに地域を苦しめます。 人の恋愛もそうですよね。いきすぎた愛の形はときに偏った思想や行動に陥りがちです。
じゃあ地域への愛は良くないの。。? いいえ、もちろんそんなことはありません。ほとんどの愛が非常に尊く素晴らしいものです。
問題はそれが掛け違えてしまったとき。 そういうケースが往々にしてあるのが地域の構造的な問題なのです。
地域は愛で溢れている
私は地域おこし協力隊として2017年から活動を始め、松崎町を含むたくさんの地方の環境を見てきました。 どの場所も多種多様な課題が山積みでした。。 でも、間違いないことが一つ。
地域の人たちはやっぱり地域を愛している
ということです。 「うちなんて何もないよ。。」「東京の方が楽しいでしょ?」「なんでわざわざこんなところに」そんな風に言われることも多いですが、じゃあここの地域嫌いなんですか?と聞くと皆さんNO。
そりゃあそうですよね。 どんな経緯があったとはいえ、自分が何十年も暮らしてきたまち。 愛着があって当然です。
それが地域の本音なのです。
地域を取り巻く環境は非常に複雑
愛があっても全てがうまくいくとは限りません。 世の中は冷たいですね。
- 交通アクセスが悪くてお客さんが来ない
- 産業が衰退し外に働きに出る人が増える
- 便利な生活の方が良いと人がさらに減る
- 少子高齢化が深刻になっていく
誰もそんなことは望んでいないはずなのですが、段々と町の活気が欠けていく。。 それを目の当たりにするのは他の誰でもない、その地域に住む皆さんです。
でもどうすることもできない。。 それは愛があるからこそ相当悔しく思うことでしょう。
とはいえ、一個人で経済状況を一変させるのは無理です。 世の中の流れにはどう抗ってもどうしようもないこともたくさんあります。
その中で一生懸命試行錯誤を繰り返してみても、
うまくいかない →人が離れていく →再挑戦 →うまくいかない →負のループ。。
そんな状況が続いているのです。 難しいですね。
ONEPIECE:アラバスタ編
さて、地域の中には難しい状況があることをご理解いただいた上で、ここからはONEPIECEのシーンを解説していきます。
長編漫画となったONEPIECEの中でも、未だに最優秀編としても名高いアラバスタ編。
細かくカウントすると変わるかもしれませんが、およそ10巻~23巻ぐらいに収録されています。 (できれば1巻から23巻までご覧いただくと理解しやすいです。。!)
アラバスタはONEPIECEの世界に存在する王国の名前です。フィクションです。
つまり、【アラバスタ王国における事件にルフィがどう関与したのか】というお話になります。 この一連の騒動や人間関係が地域の構造的問題と全く同じ体系だったので、今回の解説に至りました。
アラバスタ王国の危機
かつて平和で華やかな文化を誇っていたアラバスタ王国。 しかし、現在は非常に大きな問題を抱えていました。
内乱勃発。。! です。
なぜかというと、国全体で食糧難に陥ってしまったからです。原因は「雨が全く降らないという異常気象による干ばつ」。アラバスタ王国は国土の多くが砂漠地帯なので、多くの国民の生活が危機的状況に陥ってしまいました。
国民の中にはフラストレーションが溜まります。。
そう思っていた矢先、国土の中で唯一、雨がふんだんに降るエリアがありました。
それが、首都・アルバーナ。
国王が暮らすその場所だけは雨が絶えることがなかったのです。国民から非常に尊敬されていた王家を讃えて、人々はこう呼びました。 『王の奇跡』 さすが王様! 私たちの拠り所だね!と国民は信じていたのです。
しかし、ある事件によって状況が一変します。
ダンスパウダーという粉が王宮に運ばれていたという事実が発覚するのです。
ダンスパウダーは、近くの雲を無理やり雨雲にして自分たちの土地に雨を降らせるという禁断の果実。
つまり、
他のエリアから雨を奪って
首都にだけ雨を降らせていたんじゃないか。。??
そんな疑念が国民の中に生まれ、食糧難という自身の置かれた苦しい環境も相まって、王家への怒りが爆発します。
もちろん、王家はそんなことをしていませんので、それを否定しますが、説明が追い付かず、結果内乱へと発展してしまうのです。。
暗躍するクロコダイル
国民の怒りを買ったアラバスタ王家。 しかし、本人たちは全く悪くありません。
一連の事件には裏で糸を引く悪者がいたのです。
それこそがクロコダイル。。!! 典型的なワルイやつです。。!!
彼はときにダンスパウダーを使って近隣の雨を首都アルバーナに集中させ、そしてあるときは反乱軍に武器を売って内乱を加速させ、平和だったアラバスタ王国をめちゃくちゃにします。
その目論見としては、そうして陥落した王家に代わって自分がタイミングよく躍り出ることにより、国をのっとろうとしていたのです。 しかも、王家に眠る古代兵器が目的という。。!! 自分の目的のためには国民の不幸も顧みないとんでもないやつです。
でも誰も文句が言えない。。! 計画が周到で誰も疑わなかったことと、クロコダイル自身の力が強く、誰も彼を倒すことができなかったのです。
このままじゃヤバイ。。! そんな状況にあるアラバスタ王国に、主人公のルフィ一行が乗り込みます。
クロコダイルをぶっ飛ばせ!
読者である私たちは全ての背景を知っているので、「なんだクロコダイルわりーやつじゃん!」というのが分かるのですが、ONEPIECEの世界ではそれが浸透していません。
先程も申し上げた通り、まさかそんな悪者が裏で糸をひいて天候を操っていたなんて誰も知りもしませんし、それがまさかクロコダイルだったとは思わない状況になっていたのです。
クロコダイルの表の顔は、その強さを武器に国に乗り込んでくる海賊たちをやっつけるヒーロー。 さらに大規模カジノを運営するオーナー。 王家とまではいかないまでも、かなりの権力者として支持されていたのです。

読者としてはもどかしくなると同時に、ルフィ頑張れー!となるような状況です。 何しろ、クロコダイルをぶっ飛ばしてくれれば全てが解決するのですから。
とはいえそうもいかない。。 そんなことがアラバスタ王国で発生しています。
アラバスタ王国の問題を図解しよう!
今回のアラバスタ王国の内乱は、国民は誰も悪くないのに発生しています。悪いのはクロコダイルなんです。 でも、クロコダイルが直接関与しないところで争いが起き、血が流れてしまいます。

そんな状況を見て、当のクロコダイルは「泣かせるじゃねぇか。国を想う気持ちが国を滅ぼすんだ。」と全くの他人事です。 最低!!!
#ONEPIECE のアラバスタ編でクロコダイルが「国を想う気持ちが国を滅ぼす」っていうセリフがあるんだけど、そんな感じ。。https://t.co/hbUpzzwXWc
— てらけん@伊豆おこしプロジェクト (@teraken099) May 30, 2019
主人公ルフィの英断
王家「原因がわからない。。でも、混乱は抑えなければ! 国のために!」
国民「みんな苦しんでいる。。雨を取り戻さなければ! 国のために!」
王家&国民「国のためにあいつらと戦うんだ!!」
そんな最悪の循環が続いている中、主人公のルフィだけは違います。
誰も言えなかったその真相をあっさりと発言してしまいます。
そんな声気にもせずルフィはクロコダイルの元に一直線! カッコ良いです!
そして、これこそ地域における構造的な問題と関係性が一致している部分です。
問題はひとつ。 なのに別のところでもめてしまう。
これが構造的な問題です。
国を想う気持ちが国を滅ぼす

今までの経験の中でも思い当たることがありませんか?
「あれ、今何に悩んでいたんだっけ。。?」
そんなことが地域の中では大量発生しています。
人口が減ることは本当の課題ではない
と、過疎化が著しい地域では叫ばれることがあります。 そして、一人でも多くの移住者を増やした方が成果を出していると考えがちです。
でも、それは本当にそうでしょうか?
そもそも、日本全体として人口が減っています。 そして、これからも減り続けます。 なぜかと言えば、100人の村がいきなり500人の子どもを産むことは考えにくいからです。
そして、一人の移住者を連れてくるということは、どこかの地域では人が一人減っていきます。 そうなると、お互いパイの奪い合いに発展してしまいます。 その時は短期的に人が増えても、どこかのタイミングで人が奪われてしまったり。。
それはまさに、アラバスタの国王側と国民側の争いと同じです。
まさに水掛け論といったところでしょうか。 雨をどう降らせるかなんてことは本来誰にもどうすることもできないはずなのです。 (クロコダイルは特殊能力もあって解決しています。詳細は本編をご覧ください。)
もし、人口のことで争うなら、
こんなイメージです。
想いがあることは悪いことではない
「人を無理やり呼び込もうとすることは強引だ」というお話をしました。 じゃあその発言をした人が悪意をもってそう言っているのか、というとそんなことでもない気がします。
そうなんです、それ自体は別に悪いことではないのです。 でも実はそれでは解決できない。 それでも何かしなきゃ。。!
その結果陥りやすいことの一つが、【無料でイベントを実施する】ことです。
繰り返しになりますが、悪いことではありません。むしろよっぽど善いこと。
それは素晴らしいことです。 でも、それで人が来て、例えば移住したとしても、話はもどって全体の人口は減っていくので問題は解決しません。
むしろ、同じように繰り返し頑張っていかなければいけなくなります。 元々その無料のサービスが目的で移住してきた人なら、そのサービスがなくなったら魅力を感じなくなっていなくなってしまうかもしれないからです。
そうなると、問題は解決していないのに、自分たちはさらに頑張らないといけない。。 多重苦になる一方なのです。
これはまさにONEPIECEの世界で言う、
王家「原因がわからない。。でも、混乱は抑えなければ! 国のために!」
国民「みんな苦しんでいる。。雨を取り戻さなければ! 国のために!」
王家&国民「国のためにあいつらと戦うんだ!!」
この構造と似ています。 戦ったら戦う分だけ疲弊していくのに、本当の敵は倒せない。 それでもみんな目の前の敵が憎くなって戦っていく。 みんな【国のために】。 難しいですね。

本当の敵をぶっ飛ばせ
ONEPIECEの世界でいうクロコダイル、そのような本当の悪者はどこにいるのでしょうか? そして、そこに一直線に向かってくれる勇敢な主人公ルフィはどこにいるのでしょう?
それはとても難しい問題です。
クロコダイルはどこにもいない
作中のようにクロコダイルという存在が明確にいれば、正直問題は楽です。
ルフィと同じようにぶっ飛ばせば良い。
でも、地域における課題の場合はそんな明確な一人の人物が原因になっているケースは稀でしょう。 というより、どこにもクロコダイルはいなかったりするのです。
漫画の中ではクロコダイルが超人的な能力で人々を引きずりこみますが、現実にはそんなことを一人が行うことはできません。 じゃあどこに問題があるのか。
実はそれを設定することこそ、本当に必要なことなのです。
何が問題なのか? 今やっていることはどこにつながるのか? どこにクロコダイルはいるのか?
そして、それをぶっ飛ばしたらちゃんと問題が解決するのか?
それをしっかり考えていかなければいけないのです。
問題設定が一番難しい
そこで問題設定がちゃんとできれば、すんなり問題が解決するはずです。
アラバスタで言うなら、国王側がダンスパウダーの出荷元がクロコダイルということに気づいて、国民も武器を手配しているのがクロコダイルと気づくことです。
でも実際には難しい。。 目の前に見えるクロコダイルの表の顔にはそんなことカケラも感じさせないからです。 悪い海賊をやっつけるヒーロー、富をもたらす経営者、そこを疑うなんてできません。
でも本当はそこを疑わなければいけない。 そこに勇気がいるわけですね。 皆さんはそこでそんな強大な敵を相手にする勇気がありますか?
覚悟を決めた王女
そんな環境の中、たった一人でその決断を決める少女が作中には存在します。 その存在があったからこそ、ルフィはアラバスタに向かい、クロコダイル討伐につながるのです。
それは、国王の一人娘・ビビ王女です。

原因が全くわかっていなかった国王側の中心にいながら、裏ルートを嗅ぎまわってわずかな情報を手に入れ、それを本格的に調査するために国を出る。
ものすごいリスクを背負って海をわたり、たった一人で敵の情報を収集します。 時には命を狙われるような環境を潜り抜けながらも、です。 王女と言う立場でただ黙っていれば毎日安全なのに、素晴らしい決断ですよね。
しかし、彼女がとった決断とリスクが、最終的には本当の敵:クロコダイルの討伐につながります。
目的を達成するまで折れないルフィ
そんなハートの強いビビ王女でも、最後クロコダイルを目の前にすると臆してしまいます。
確かにそれはクレバーな判断ですが、実際には難しいのが先ほどの通りです。
そんな中、主人公ルフィだけが核心をつく発言をします。
圧倒的な強さと人気を前に、国民はおろかビビ王女ですら考えもしなかった選択肢。
そんなこと、できっこない。
みんなそう考えていたんです。 でも実際にはルフィが正しい。 クロコダイルさえぶっ飛ばせばいいんです。 無理かどうかを決めかねている時点でもうクロコダイルの作戦にハマっているんですから。
そして、ルフィはとにかく突っ走ります。
しかも感動的なのが、2回もクロコダイルに敗北しているんです。
いくら強いルフィとは言ってもクロコダイルはそれを上回っており、2回とも完全に打ち負かされます。
それでも立ち向かう。 しかも、1回1回の戦闘中にクロコダイルを攻略しながら。
これこそ、地域の構造的な問題解決にも同じことが言えると思うのです。
あなたはどこに登場しますか?
いくつもの苦難を乗り越え、最後は無事にクロコダイルから国を取り戻します。
その過程にはいくつものストーリーがありますが、今回の話の中でのキーマンは二人。
ビビ王女とルフィです。 この二人こそアラバスタ救出だけでなく、地域の構造的な問題の解決にも必要な人物像と言えます。
なぜなら、ビビ王女だけではクロコダイルにたどり着けても倒すことができないし、ルフィだけではクロコダイルの元にたどり着けないからです。
ビビ王女は、国王側の中心という立場だからこそ情報を得て、さらにアラバスタ王国に到着しても様々なサポートを受けてスムーズにルフィ達をクロコダイルの元に誘導します。
ルフィはといえば、怖気づいて目的がブレかけていたビビ王女を正確に立て直し、強力な仲間たちを連れてクロコダイル陣営を圧倒します。
そうです、地域おこしにおいてもこの二つの役割が必要なのです。 そして、どちらがどちらの役割にとって代わることはできないし、それぞれにそれぞれの役割があるのです。
似ていると感じませんか? 地域の人々と地域おこし協力隊と。
皆さんは、ビビ王女ですか?ルフィですか? それとも何も知らない国民ですか?
“出航〜〜〜〜!!!”#onepiece #アラバスタ #ビビ #ルフィ #ビビの冒険 #終わり pic.twitter.com/jQ8Rrv4EUi
— ONE PIECE カラー漫画 (@onepieceondy) 2016年1月15日
さすがに海に飛び出す海賊みたいなことはできませんが、一つ一つできることはあるはずです。 一人でも多くの仲間がONEPIECEを目指して旅に出てくれることを願います。
私たち地域おこし協力隊は、勇敢なルフィにはなれませんが、みんなで麦わらの一味を構成することはできるのかもしれません。 その際は是非仲間に入れてくださいね!
ご連絡お待ちしております!
てらけん