こんにちは!静岡県伊豆・松崎町地域おこし協力隊のてらけんです。
皆さんは地方財政を考えたことがありますか? ほとんどの方がNOではないかと思います。
私は仕事柄、地方財政について考える機会があり、先日もこんな投稿からリアクションをたくさんいただきました。
もともと三割自治と言われる国と地方の財源割合で、かつ財政均衡化を行なっていているので、日本国がすべての自治体の連帯保証人みたいなもの。現状では日本国が潰れぬ限りは個別自治体が破綻する術そのものがない。そもそもの国税と地方税制改革をしないと地方自治は厳密には不可能。 https://t.co/bioukZYozA
— 木下斉/Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) June 16, 2019
今日はこの件について深掘りしていきたいと思います。
- 地方財政って何?
- 日本は先進国だし、大丈夫でしょ?
- 地方財政なんて自分には関係ないと思っている
Contents
20代が真剣に地方財政を考えないといけない理由

20代が真剣に地方財政を考えないといけない理由、それは、
黙っていると一生借金を払うことになるから
です。
地方財政は自分たちで稼いだお金で回っていない
まずはとにかくその現状をご覧ください。
【伊豆・賀茂地域の自主財源比率】
東伊豆町 | 51.1% |
---|---|
下田市 | 47.0% |
河津町 | 40.8% |
西伊豆町 | 38.3% |
南伊豆町 | 36.6% |
松崎町 | 34.5% |
なんのこっちゃ? と思うかもしれませんが、自主財源比率ということは、自分たちで稼いでいるお金です。 町民税とかですね。
つまり、松崎町の場合、自分たちで稼いでいないお金が65%。
毎年使っているお金の半分以上が、借金や国・県からもらっているお金です。
これがどういう意味かわかりますか?
わかりやすく、年間300万円の生活をしている家庭で考えてみましょう。
300万円 × 65% = 195万円 これを借金や知人からもらっているお金で生活しているということです。
ヤバくないですか???
比率だとピンとこない方向けに、具体的な数字でお話しましょう。
伊豆・賀茂地域(1市5町)の合計歳入は、約334億円。
そのうちの、自主財源で稼いでいるお金は、約142億円。
つまり、自分たちで稼いでいないお金は、334億円 - 142億円 = 192億円
192億円、実に半分以上のお金を自分たちで稼がず現在の体制が回っています。
繰り返します、
ヤバくないですか???
町だったらいくらでもお金を借りても良いのか?
途中例に出した300万円の暮らしをしている家庭が自分の知人だったとしたら、「ちょっと生活見直せよ」と思ってしまいますよね。 特殊な事情がない限りは。
人だったら違和感があるわけです。
じゃあ『町』という単位だったら?
なんとなくそんな感じがしますよね。
、、いや、そんな感じしちゃダメですよね! 笑 人と同じです。
最初にコメントを使用させていただいた、木下斉さんの言葉をお借りすれば、今の状況は日本国がすべての自治体の連帯保証人みたいなもの。
それが現状です。
連帯保証人ならまだ言い方がマイルドですが、考え方を変えればこれは完全な主従関係にあるとも言えます。
つまり、町単体の意志とは関係ない財源なので、もしその出資元が気にくわないお金の使い方をしていたら、拒否されてしまうかもしれないのです。
極論ですが、国の担当者が関西の出身で、
と言い始めてそうお金をつけられてしまったらそれまでなのです。 あるいは、
と言われたらもうそれに従うしかないのです。 自分で自由に町のためにお金を使えない。 そういうことです。
それって、地方自治体と言っていながら、全然自治できていないということですよね。 降ってくるお金や指示に従っているだけ。 厳しいですね。
返済しない人たちが借金をする

かなりショッキングではありますが、現状について振り返りをしてみました。
借金がかなりあることはわかりましたが、それでも借金があれば返せば良いだけの話。
頑張って返そう!! 、、と思ってもそうもいかない現状があります。。
借金返せてるの?
答えから言うと、全然返せてないですよね。
だって半分以上が自分で稼いだお金じゃないんですから。 借金分を誰かからもらったお金で埋め合わせてるわけです。
つまり、借金が膨らむばかり。
借金は一概には悪くないと思うわけです。支払い金利以上に自治体の未来の財源が拡大するだけの地域経済開発につながれば全く問題ないわけです。が、地方自治体の多くがどうせ自己負担ではないといって過疎債を発行して、さらなる赤字になる事業を推進し続けて結果、維持費で詰んでしまうのが悪。 https://t.co/niNNGS0ofW
— 木下斉/Hitoshi Kinoshita (@shoutengai) June 16, 2019
借金が膨らんでも、しっかり稼いでいけば良いですが、その見込みがほぼないような状態。 だって半分以上が自分で稼いだお金じゃないんですから。
それに、黙っていても税金というお金が入ってくるばかりの行政は、お金を稼ぐということを知りません。 知るわけないですよね、黙っていてもみんなが税金を払ってくれる仕組みになっているのですから。
お金を稼いでいる人たちというのは、「どうやったらお金をいただけるか」ということを日夜検討しています。
ところが、その思考方法が行政には仕組み上ないのです。
お金に困ってもお金が借りられる
半分以上を自分で稼いでいない、借金を返すだけのお金の稼ぎ方も知らない。
そんな状況の人だったら、とてもじゃないですがそれ以上にお金は借りられませんよね。
でも、町の場合は違います。
過疎対策事業債、通称:過疎債 といって、名前の通り過疎地域と認められた地域がお金を借りる仕組みがあります。
過疎対策事業債(かそたいさくじぎょうさい)は、過疎地域自立促進特別措置法(平成12年法律第15号)第6条に規定する過疎地域自立促進市町村計画に基づいて実施する公共施設や情報通信基盤等整備する事業を対象とする債券である。
—wikipediaより
ポジティブにとらえれば、「過疎地域になっちゃっても頑張ってね!お金貸すから!」なのですが、普通に考えたらおかしな話です。
過疎地域であることがお金を借りやすくしているのです。
そういってくれる自治体があれば素晴らしい自治体です。
でも実際はそうではありません。
というテンションで借金をします。
もろに松崎町がそうなのですが、「松崎町道の駅パーク構想」という計画の中で過疎債が実行されようとしています。
今もまだモメている状態ではありますが、この計画の数字がすごいことになっているのです。
詳細の資料がネット上にあがっていなかったのですが、お隣の南伊豆町の道の駅は1,000万円ぐらい儲かってるから、こっちは900万ぐらいかな~みたいなことが平気で書かれていました。。 (参考:南伊豆町道の駅 NPO法人南伊豆湯の花さん)
900万の収益を出すためにはどれぐらい売り上げをあげなきゃいけないんだろう?
その売り上げを出すための商品は何だろう?
その売り場にかかるコストはどれくらいだろう?
その辺りの検討がほとんどされず、「とにかく今安く借りられるから」というテンションでお金が動きます。
借りなきゃいいのに。。
お金がないんだから借りられないのが普通なのに、借りることができてしまう。
そして、借りることに何とも思わない。 不思議ですよね。
それは自分が直接払うと思わないからこそできてしまうのです。
そうですよね。 町がいくら借金しても、「借金したので、来月から税負担が増えます!」みたいなことはありません。
じゃあOK。。?
そんなわけはありません。 いつか払うときがきます。いつか。
というか、それは私たちのように若い世代の人たちがバリバリ働いた収益から税金として差し引かれていきます。
おかしいと思いませんか?^^;
稼いだお金がどんどん差し引かれていて、それが何に使われているかと言えば、稼げるはずのない先への投資。
むしろ膨らんでいく赤字。
例えるならば、穴のあいたプールにせっせと水を運んでいるようなものです。 いつまでたっても泳げない。 だったらどこか南の島に行ってしまった方が良い。
そんなことが現に起きているのです。
私たちには抗う術すらない
と、伝えても人口動態として抗うことはできません。
特に、松崎町のような田舎の場合は高齢者の割合が2人に1人ぐらいになっていますから、借金を負わない人たちの方がほとんどなのです。
その方々の意思の数の方が多く、最終的にはお金が動く。
これが地方の実情です。
考えよう、訴えよう
「じゃあ何をしたって無駄じゃないか!」
私はそのようには思いません。
なぜなら、何もしなければ悪くなる一方ですが、何かすればもしかしたら動くかもしれないからです。 わずかかもしれませんが。
少なくとも、今回の記事の中で【とにかく地方財政がヤバい】ことを考えるきっかけになった方は多いはずです。
そういう方を一人でも多くすれば、今までの状態とは変わってきます。
是非、他人事だと思わず、皆さんで地方財政のことを考えていきませんか?

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てらけん