こんにちは!伊豆・松崎町地域おこし協力隊のてらけんです。
突然ですが、皆さんは「なまこ壁」というものを知っていますか??
「そんなもん、当たり前でしょ〜」という方は博識か育ちの良い方ですね!
私は伊豆に来るまでほとんど知りませんでした。常識知らずですみません。
「あ、私も実は知らないのですが。」というそこのアナタ!!!安心してください!!!
地域おこし協力隊として現地に移住した私が責任もって教えます。
- なまこ壁ってなに?
- 正直なまこ壁ってすごいと思っていない
- 地域に住んでいるからこそわかった、なまこ壁の価値を聞きたい
Contents
なまこ壁ってそもそも何?

名前は聞いたことがあるよ!という方も多いのかもしれません。
でも、実際どういうものをいうのか?どんな歴史があるのか?というところをしっかり考えたことがある方は少ないと思います。
まずは基礎的な情報と見解を整理していきます。
昔の外壁の工法です
海の「なまこ」はよく知られていますね。ウニョウニョしているアレです。心臓を持たないあの生き物ですね。その壁!

「なまこ壁」は、平瓦を壁に貼り付け、目地を漆喰で海の生き物「なまこ」のように盛り上げるスタイルからその名称がつきました。防火性、保温性、保湿性に優れ、明治時代から昭和初期まで各地で見られた外壁の工法ですが、老朽化や建て替えなどで年々減少。現在、伊豆では松崎町と下田市、全国的には岡山県倉敷市や広島県東広島市などに見られます。松崎町には今も190棟余り残っており、昔ながらの趣を留めています。(松崎町観光協会さんホームページより抜粋)
あぁ〜、なまこみたいな壁ね。
そうです。なまこみたいな壁です。
なまこ壁ってすごいの?
なんて松崎町で言うと怒られてしまいます。
しかも、地域おこし協力隊なんていう外部のワカモノヨソモノが言うのは絶対タブーです。だからとてもとても町内では言えません。
松崎町に来たらひとまずなまこ壁を褒めておこう!
言ってしまえば、白と黒の格子状の模様。そんなに珍しいですか??ヨーロッパのレンガの建築とか、ガラスでピカピカのビルとか、そういうのもの方が「おぉ〜」ってなりませんか??
もちろん冗談です。
でも「松崎町って何がすごいの〜?」と聞くと、みんなだいたい海の次ぐらいに「なまこ壁」って言うんです。そうやって町民みんなすりこまれてるのかなっていうぐらいに。
なまこ壁を見た目だけで判断してはいけない
外壁のデザインで言えば、びっくりするような印象はない、なまこ壁。実際目の前にしても、例えば熊本城みたいな迫力があるわけじゃないのです。
それがさっき言ったような、「ただの白黒の壁じゃん」「もっと奇抜なペイントをしてある方がカッコ良くない?」という感覚になる人もいる要因です。
「そんな奴らはけしからん!勉強不足な連中だ!!」そうおっしゃる知識人の方々もいらっしゃると思いますが、私はそうは思いません。
私自身、初見のときにそんなにデザインとして感動しませんでしたから。サグラダファミリアのガウディとかダリみたいな奇抜なものの方が鮮明に印象に残りますよね。

それってなんで?と冷静に分析していくと、実はなまこ壁は見た目で勝負してたものじゃないからなのです。奇抜さとか色使いとか、オシャレかどうかは問題じゃないのです。
正しいなまこ壁の味わい方
「あぁ〜よかった、正直なまこ壁カッコいいと思わなかったのよね〜」それで終わってしまってはいけません!ちゃんと話を聞けばカッコ良く見えます。
まずは、そもそも【なまこ壁が設置された場所ってどこ?】これを考えてみましょう。
家?公園??茶室的なところ???
いいえ、蔵です。
倉庫。ものを貯蔵しておくところです。
え?じゃあ、物置小屋ってこと??
いいえ、そんな貧相なところではありません。
言うなれば金庫に近いイメージ。守備力MAXの倉庫です。その外壁がなまこ壁だった。
つまり、金庫室(銀行や造幣局とかの人が入れるくらいのサイズ感)の何センチもの厚さのある壁がなまこ壁にされたんですね。今は黒塗りのピカピカしてるイメージだと思いますが。
そういう金庫が「すごいな」って思うときって、デザインが奇抜だからではなくて、「お金がたくさん入っていそう」だからですよね。お金がたくさん入っていそうな金庫だからこそ「おぉ〜!」とびっくりしてしまう。
是非皆さんも、なまこ壁を見るたびに「この一つ一つが銀行の金庫!?」と思いながらご覧になってください!見え方が変わってくると思いますよ!
なまこ壁は見た目ではなく、昔の最高級の金庫と思って見てみよう!
もっとなまこ壁を愛そう

実はあまり深くは知る機会がなかったなまこ壁について振り返ってみました。
ここからは、さらに皆さんをなまこ壁ファンにするためのイチオシ情報をお届けします!
性能も抜群!
ただの白黒の柄ではなく、大切なものをしまっておくための金庫の役割を果たしていたなまこ壁。
素っ気ないんだけど、ものすごく想いも価値もつまったモノなのです。
さらにさらに、こんな役割もあります!
「なまこ壁」は、平瓦を壁に貼り付け、目地を漆喰で海の生き物「なまこ」のように盛り上げるスタイルからその名称がつきました。防火性、保温性、保湿性に優れ、明治時代から昭和初期まで各地で見られた外壁の工法ですが、老朽化や建て替えなどで年々減少。現在、伊豆では松崎町と下田市、全国的には岡山県倉敷市や広島県東広島市などに見られます。松崎町には今も190棟余り残っており、昔ながらの趣を留めています。(松崎町観光協会さんホームページより抜粋)
ただの飾りでついていたわけではなく、性能も抜群!当時はコンクリートや鉄といった建築資材が当たり前ではなかった時代ですから、特に耐火性が優れている点はとても重宝されました。
今は人気が下火になってしまった
そんな価値も高く、性能も良いなまこ壁ですが、今ではあまり使われることがなくなってしまいました。私たちの生活において、大事なものをしまうのは蔵ではなくなってしまったのです。
銀行口座にお金は預けるし、引き出すのはコンビニのATMから。それが今はもうQRコードでPayPayですよね。 そうなると一気に価値が薄くなっていった。
だから、私たちは感動しないのです。感動できないのです。価値があるんだろうというのはなんとなくわかるのですが、そんなに熱量をもって言えるほどじゃないのです。
平成を生きる私たちは、江戸時代の人たちが感動したなまこ壁を見ることはできないのです。
みんなでなまこ壁を愛そう!
時代が変わってしまった今ではなかなか実感しにくいですが、昭和の大スターがいつまでもスターであるように、なまこ壁も渋くてカッコいい存在なんです。わかりにくいだけ。不器用な漢なんですよ。愛してやりましょう、私たちが。
- なまこ壁は海のなまこみたいな壁
- 松崎町民の誇り
- すごい金庫の象徴がなまこ壁だった
- なまこ壁は高性能
- 私たちはなまこ壁の価値に気づきにくい
- 結論:なまこ壁はカッコいい
当時憧れの象徴だった、なまこ壁。それは今の私たちにはわかりにくいですが、とんでもない高級品だったのです。今でいう、自家用ジェットみたいなもの。セレブの代名詞。
何しろ、一級の左官職人が一日張り付いてもあのなまこ部分の白いところは数本しか仕上げられなかったとのこと。それはやってみればわかります。綺麗に盛るのはめちゃくちゃ難しい。
そして、それがわんさかあるのが松崎町・伊豆。
今でいう、自家用ジェットがとまりまくっているカジノ。ドバイです、ドゥバイ。産油国です。
産油国というのもあながち間違っていなくて、松崎町は炭焼きで財を成した地域。
ガスも電気もなかった時代に火を起こす良質の原料を山から切り出せた。立派なエネルギー産出国だったんです。
なおかつ、江戸⇄大阪の中継地点。風待ち港といって、風が強い時にはどうしても伊豆は一日でまわれなくて、黙っていても船が泊まる立地条件。どう考えても儲かる地域だったんです、しかもとんでもなく。
それが今。伊豆でも知名度が薄い過疎地域。
実はその全てを物語っているのは、他でもないなまこ壁なのかもしれません。

どうですか?伊豆のなまこ壁、すごくないですか??
もう最初と違ってカッコよく見えるはず!こういうすごい話が転がっているんです。伊豆。それを少しでも、この伊豆おこしプロジェクトではお伝えできればと思います。
次回もお楽しみに!
てらけん